話し声が聞こえたのか、壁からひょこっと顔を出して手を振っている花奈。掃除中なのか、薄ピンクの三角巾とエプロンをつけていた。
「…柊木さん、お手伝い?すごいね」
「遊も手伝ってよ〜!顔いいからお客様、ガッポガッポよ!」
彩陽さんなんてことを…
苦笑いしていると、花奈はジトーっとこっちを見ているのに気付いた。
「さっきの胡散臭い笑顔、やめたほうがいいと思うよ〜」
う、胡散臭い……?
わなわなとこみ上げてくる感情を抑えて、笑顔を続けた。
俺のすぐ側では彩陽さんが笑いをこらえている。
「ぷふ……っ胡散臭い…て……遊、あんたもうバレてんだから素でいなさいよ……くふふっ」
「…彩陽さん、口にホッチキスって出来るのかな?ちょっと試していい?」
