「今日の最初の問題さぁ。難しくない?あんなのホントに頻出なのかなぁ?」
「あぁ…そうだね。」
「私電気が苦手なんだよね。力学はまぁまぁなんだけど。
酒井くんは?」
いつものように、いや、いつもより饒舌に話す彼女。
(気、遣わせてるよな。)
ごめん、想いに応えられないのにその上気遣わせて…
駅までの道程が長い。
でもいつもと変わらなく笑う彼女の隣は、申し訳ないという気持ちとは裏腹に心地悪くはなくて─
この長い道程がもう少し続いても悪くはないかな、なんて、俺は生まれて初めて思った。
* * *
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