家に帰ってきてからも、
私は、部屋に閉じこもっていた。

閉じこもったところで、
家には誰もいないんだけど…


ベッドに仰向けに寝そべり、
目をそっと閉じる。

今日あった光景が、
何度も何度もフラッシュバックする


私の悪口を言ってた人達、
下駄箱の悪口やカッターの刃。


悪口なんて、慣れてたはずなのに…
なんでこんなにも苦しんだろ。


「っ…はぁ〜」

大きなため息が部屋に響く。


───コンコン

「いと?帰ってきてるの?」

ドアの向こうで、
お母さんの声が聞こえる。

「あ…う、うん」

「靴ないのに、家の鍵空いてたから」

「靴に泥はねちゃって…乾かしてるの」

ドアを間に、
お母さんと会話をする。

本当のことなんて言えない…
今までたくさん迷惑かけて、
高校では迷惑かけないって、決めた。

上履きで帰ってきたなんて、
お母さんには言えない。

また、いじめられてるの?って
きっとそう言われるに決まってるから。