聞きたくない情報。

聞きたくない名前。

聞きたくない。

聞きたくない。

聞きたくない。


「ねぇ、有賀さん!泰斗と別れたの?」

直球で聞いてくる女子。

私の心がグリッと抉られる。
その音が聞こえる…カタカタと震える。
呼吸が浅くなる。

「ねぇ、有賀さん?」

「あーりーがーさーん」

呼ばないで、私の名前を。
こっちに来ないで…


一人にして。


「コラー!!誰だ!いとちゃんを虐めてるのわ!」

この声は

「朋美…」

「虐めてないよ?ただ質問してただけ」

「まったくー。いとと泰斗はラブラブカップルなんだから!」


どうして、そんなことが言えるの?

なんで、キスしておいてそんなことが…


「…にして…」

「え?」

「いい加減にしてよ!朋美!もう、関わらないで!」

唯一の友達に怒鳴り散らして、
私はその場から逃げるように去った。


どこに行こうかなんて考えてない。

なのに、
自然と足がボロ階段へと運んでた。