「んじゃ」
「ばいばい」
私と泰斗は、
それぞれ家に帰った。
「ただいま」
ただ、
1人で部屋にいる時だけが…
赤を見なくていい時間。
「赤い糸…」
一歩外に出れば、
赤い糸があちらこちらに張り巡らされている。
横切っても、
引っかからない…
まるで、幻覚のようなもの。
私は左手を目の前に広げ、
小指を見てみるけど…
赤い糸はない。
何度小指に、
赤の糸を巻いたことか…
みんなの仲間に入りたくて、
何度も何度も自分で巻いてきた。
でも、巻いたら…なんか、
とっても虚しくなった。
こんな目、
無くなればいいのに。