まっちゃんより先に寝てるなんてよくある事で、だからきっと寝顔を見られているのも初めてじゃない。でも改めて言葉にされると色んな事が妙に気恥ずかしい。そもそもいつもはお互いにアラームで起きているので、こんな形で起こされたのなんて初めてだ。
「てかまっちゃん、今日部活の休日練で学校行くって言ってなかった?」
そう聞いていたし特に私の予定はなかったので、七時半に一度起きてまっちゃんを見送ってからまた寝ようなんて事を考えていたはずだ。けれど学校に行く時のまっちゃんは必ずスーツ着用なので、今私服姿というのはおかしい。
「コーチの都合で今週は休みになったんだよ」
普段割と真面目に活動していて、まっちゃんもそのせいで休日出勤が多いというのに、こういう所は緩い。まあでも進学校の部活動なんてそんなものかもしれない。
「そんな訳でこの土日はフリー」
「えー、めずらしいね」
結婚して以来、まっちゃんの土日が完全に休日になるのなんて初めてじゃないだろうか。基本どちらかは学校に行ったり部活の用事で出かけたりしてた。
そういう疲労の蓄積がこの間の発熱の原因の一つでもあったんじゃないかと私は疑っている。だからこの週末が完全な休日になるなら嬉しい。
「だからさ、どっか出かけよう。起きて準備しろよ、八時には出るぞ」
部屋のカーテンを開けながらまっちゃんが言う。
「え、え、どこへ?」
既にいつでも外に出られそうなまっちゃんと違い、私はまだ起き抜けのパジャマ姿でベッドの上に座り込んだままだったので、いきなりそんな宣言をされると焦る。八時なんてあと三十分足らずしかない。