「…あのっ、三嶋くん……!」

振り返ると、頭二つ分くらい小さな女の子が立っていた。

俯いていてよく顔は見えないが、身に付けているもの、オーラ全てがピンクに映る。

「…なに?」

そこから先がなかなか言い出せないその子に

「用事ないんだったら帰るんだけど?」

そう言って、鞄を持ち直して歩き出す。

その子は慌てて、顔を上げる。

潤んだような瞳、紅潮した頬、透き通るような透明な肌。

一般的に見たら確実に学年のトップ3に入っているような美少女だった。

「…あのっ、話があるんです…」

言ってから頬が今まで以上に紅潮する。

「…裏庭の林檎の木の下に来て欲しいんです…」
 
俺は、黙って裏庭へ歩き出した。