「社長、私は大丈夫なので、お仕事して下さい。」
絢香は、湊に言った。
さっきの晃の態度を気にしたのか、できる限り、湊は絢香を気にしてくれていた。
「大丈夫?」
「はい、化粧室にも行きたいですし。」

そういうと、絢香は会場の隅に行き、壁にもたれて、息を吐いた。
湊と会場の中央にいると、嫌でも晃が目に入る。
いろいろな女の子が周りにいて、楽しそうに笑う晃を見たくなかった。

(ー ホント、ただの気まぐれだったんだな。あたしとは、住む世界が違う…。)

パーティを外から眺めていると、
「お一人ですか?よければご一緒にいかがですか?」
優しそうな笑顔の男性が、絢香に声をかけた。
(ー この人の誘いを受けたら、少しは気が晴れるのかな…。)

そうは思ったが…。

「ありがとうございます。でも、連れがいますので。」
と柔らかく断った。
「そうですか、ではまた。」
爽やかに会場に戻って行った。

絢香は、会場にいるのを諦め、庭に出てベンチに座った。

空を見上げると、満点の星空だった。