「私のことは美緒でいいから」 ニッコリ笑ってそれだけ言うと、また私に背を向けて歩き出した。 「神崎さ………美緒、ありがとうっ!!」 「どーいたしまして」 前を向いたままそう言うと、スタスタと行ってしまった。 ーー行かなきゃ。教室に。 渚に気持ちを伝えにーーー。 鈍い足の痛みを無視して、 気づいたら私は走り出していた。