「俺、榎本さんと前に会ったことあるんだよ。覚えてる?」




「えっ!?」




爽汰くんは『覚えてないか』と言って笑うと、優しく私を見つめた。





「受験の時、俺、手袋落としてさ。

そん時榎本さんがわざわざ俺探して渡してくれて。

そん時“お互い頑張りましょうね”って
言ってくれてさ」





そんなこともあったような…。




「俺、すっげー緊張してて不安でいっぱいで

でも榎本さんにあんな笑顔で頑張ろうって言われて勇気付けられたんだよね。

今覚えばこの時から好きだったのかもなー」




ハハッとはにかむ爽汰くん。