「浴衣なんて着ちゃってぇ……

なになに彼氏できちゃったかついに♡」




「残念だけど違うから」





水色の大きな花びらの模様が描かれてる浴衣を着て、


慣れない下駄を履きながらお母さんの言葉を即否定した。




彼氏だったら何よりよかったか!!!




「えぇ〜。残念だなぁ。美波(みなみ)ちゃんと彼氏できたのかもねって盛りあがってたのにぃ〜」





美波ちゃんとは渚のお母さんのことで。




「大輝なんて彼女と行くって意気込んでたわよ〜あの子!」




な、なに!?弟に先越された!?!?


う、嘘だ…!信じないからな私は!!





「行ってきます……」



「行ってらっしゃーい♪」




ショックを隠しながらドアを開れば、

夕方なのにセミが鳴いていて夏らしい。