「アイー」
アイの家のインターホンを押すけど
アイは出てくるどころか
誰も出てこない……
「アイ、お家の人忙しいもんね……」
アイの両親は共働き
いつも朝早く出かけて
夜遅く帰ってくる
アイはいつも“寂しくないよ”って言うけど
きっと寂しい……
だからいろんな人と付き合って
寂しさを埋めてる―――
「鈴葉……」
「アイ!?」
インターホンを押してしばらくして
アイは掠れた声であたしの名前を呼んだ
「アイ……あのね?」
「ごめん……今日学校休むね」
「え……?あの、アイっ!」
ブツッ
「あ……」
学校を休むとだけ言って
アイはインターホンを切った
「やっぱり……昨日」
あたしには、藤原くんと榊原さんのことが頭に浮かんだ
「……」
あたしはアイの家をあとにして、ゆっくりと歩き始めた
