―――行かないでって
止めておけば、なにか変わったかもしれないのにね
あたしって、バカだなぁ
「じゃあ、ごめんね」
「うんっ、任せて?」
放課後になり、アイを校門で見送る
「見送るほどの用事じゃないんだけどね」
「いいのいいの!あたしがしたいだけだから」
あたしはアイの背中を押して、そう話す
「バイバイ、鈴葉」
「うん!先生に説明しとくね!」
あたしがアイに手を振ろうとすると
「まっ、待ってぇぇー!」
「えっ!?」
うしろから走ってくるのは……
「鈴葉ぁ、アイー!」
「ふ、藤原くん……!」
しまった……
藤原くんのこと、すっかり忘れてた……
「くそぉ……っ、なんで俺だけ……」
「どうしたの……っ!」
「用事あるからって先生に説明したら、アイは怒られなかったのに、俺だけ怒られたんだぞぉ……っ」
「ごっ、ごめん藤原……」
口では謝るものの
あたしとアイは笑いを堪えられない……
するとついに
「……ぶはっ、藤原面白すぎでしょ……っ、あははっ!」
アイがお腹を抱えて笑い始めた
それにつられて
「あはははっ、ホントだよねぇ……っ、ひーっ、息出来ないー!っふふ……!」
あたしまで笑い始めてしまう
「2人ともサイテー!なんで笑うんだよっ」
藤原くんは怒ってるけど
「ひー、ははは……っ、もうお腹いたぃ……」
あたしもアイも笑いっぱなし
「……だよなっ!俺もなんだか……ははっ、俺バカだなぁ……はははっ!」
藤原くんまで笑い始める
時間も忘れて笑い続けていると
「おーい、山本ーっ!」
「はは……っ、え?」
わっ……
忘れてたぁぁぁ……!!
「やばい、行かなきゃっ……!」
「ごめんね鈴葉……」
あたしはアイにバイバイをして、先生の元へ走っていった
「せ、先生……っ!」
「山本!早く行くぞ!」
「はっ、はいっ……!」
先生は、少し怒っていた
あぁ……あたしダメダメだ……
遅刻してるとこ見られるし、こんなバカなことしてるし……
こんな自分がイヤだ……
