初恋とコーヒー



「おはよーアイ」


「おはよ!」


アイはすっかり元気


熱が出る前より、今日の方が元気だった



「藤原くんに会えて嬉しかった?」


「もちろん!お見舞い来てくれてよかったぁ……」



アイはぽわぽわと、あの日のことを思い出している


「こらこら」

「えへへっ」



あたしはアイの妄想を止め、また歩き始める



「……もう夏だね」


「うん……暑い暑い」




5月も中旬

体育祭が終われば、もう6月に入る




あの日、まだ咲いていた桜も


もう今は跡形もなく散っていた


「来年の夏って、あたし達もう大学生だ」

「ウソっ」



この前まで


“やっと高校生だ”

なんて思ってたのがウソみたい



あっという間に月日は流れ

あっという間に過ぎ去っていく



「早いねー」

「うんうん」



緩い坂を下っていきながら


あたし達は思い出話をしていた



「アイと2年の時、クラス離れて、もう終わったって思ったもん」

「ホントに!あたしも友達出来ないーって思った」

「でも藤原くんと会えたじゃん」

「そっ、そうだけど……」