確かに熱はあるけど
家近いし、大丈夫だよね……
「山本……っ」
「あら、青山先生」
先生……?
先生は焦った表情で保健室にやって来た
「山本、熱あるって……」
「そうなんです……山本さん、青山先生いらっしゃったわよ」
先生だ……
「せん、せぇ……」
「山本、大丈夫か?」
先生の声を聞くと安心する
あぁ……す、
……す?
「山本……熱いな、これ相当熱あんだろ」
先生のひんやりした手があたしのおでこに触れる
「きもちぃ……冷たい」
あたしは先生の手をぎゅっと握った
「……っ」
「先生、山本さんのお母さん来れないって……」
「俺が送ります」
「え?」
先生はすっと立ち上がった
「山本、帰るぞ」
「でも……先生っ」
先生はあたしの手を握り、保健室を出た
「じゃあ、山本送ってきます」
「は……はい」
保健室の先生は驚いた顔でそう言った
「しんどくないか?おんぶしてやるぞ」
「おんぶ!?」
先生におんぶ……!?
やだ、恥ずかしい!
「ほら」
「む、無理ですっ……お、重いし……」
あたしは必死に遠慮する
けど先生は
「早く、じゃないとまたしんどくなるぞ?」
「うっ……」
「ほーらほら?いいのかぁー?」
先生はイタズラな笑顔で大きな背中を向ける
あたしは先生の言葉に折れてしまって
「……じゃあお言葉に甘えて……」
「よし!」
あたしは先生の背中に乗った
「軽っ、女子ってこんなに軽いのか?」
「重いですっ」
先生は「はははっ」と笑う
先生の笑顔、見たかった……
「……」
「……」
うぅっ……
無言って気まずい……
