ピピッ
体温計が鳴り、あたしは熱があるか確認する
「……」
「山本さん?熱、あったの?」
先生があたしの手から体温計を取り、表情を曇らせた
「もぉ……すごい熱じゃない」
あたしはやっぱり熱があった
39度
こんな熱を出したのは、いつ以来だろう
「どうしたの?夏風邪かしら……」
先生はおもむろに冷蔵庫を開け、あたしに冷えピタを渡した
「……これ、キライ」
「そんなこと言わないの!ほら、お母さんに電話するから」
先生は電話を片手に、あたしのおでこに冷えピタを貼った
「ひゃ……っ」
思わず声が漏れて、先生は小さな笑みを浮かべる
「ベットで横になってて、電話するから」
「はぁい……」
あたしは白いベットに横になった
薬品っぽいにおい
ツンと鼻を刺す
「痛い……」
横になっていてもズキズキと痛みが続いた
こんな朝から保健室なんて初めて
「山本さん」
「……?」
先生がベットのカーテンを勢いよく開け、あたしの名前を呼んだ
「お母さん、用事があって迎えに来れないって……どうする?」
あ……
ママ、今日友達と出かけるって……
「1人で帰ります……」
「え?」
「家近いですし、すぐです」
