4時彼~君に捕らわれて~



ぴょこんと生えた犬のような耳としっぽ。

そんなの幻。

そう……分かっているのに


鳳浩太から放たれる

キラキラとしたオーラが

皆の感覚を鈍らせる。


新太郎だけではない。

クラスの皆が鳳浩太の見てくれに



騙されていた。




『キモい新太郎は置いといて…。
とりあえず良かったじゃん。
マネとはいえ後輩になつかれて。』



今年入ってくる1年がどんな人なのか…

心配していた私を気遣ってくれたのだろう。



『そう…だね。』



確かになつかれるのは悪い気はしない。

でも……



『あんまり嬉しそうじゃないね。』



カレンは私の心を読み当てた。

そう……正直あまり嬉しくない。



『なーにが嫌なの?
男子マネっていうのが嫌?』


『別に男マネは気にしてないんだけど…』


『だよね!男マネありだよ。むしろいい!
(こきつかえて)便利だし。』


『え…?』


『じゃあ何が嫌だっていうのさー。
あんなイケメンからのお迎え…
私なら喜んで行くよ。』



普通の女子なら

喜んで行くものなのかも知れない。


でも、私の見てくれじゃ

隣を歩くだけで校内に舎弟を作ったように

誤解されるのがオチだろう。


それに………


私とカレンは互いに鳳浩太へと視線を移した。


相も変わらず彼から放たれるキラキラオーラ。

そのオーラの後ろで………



《あー今日も先輩可愛いー。》
《早く先輩来ないかなぁ。》
《早く先輩と話したいなぁ。》
《早く先輩と……つーか先輩の隣にいる男だれ?》
《先輩のあんなに近くに……》
《………ウザいなあの男。》




『ありゃりゃ……心の声がだだもれだね。』


カレンはケタケタと笑い声をあげた。


鳳浩太は、けなげに待つ良犬などではない。

邪な考えだだもれな只の駄犬。



私を女として見ようとする鳳浩太だからこそ

男のように見られる事に慣れてしまった私が

今さら女の子として見られる事を


受け入れる事が出来ないのだ。