終わった………。
そう思わずにはいられない。
きっと明日の朝には
“オトコオンナを口説いた勇者が出た”
なーんて変な噂が飛び交うのだろう。
女子生徒からは
好きですっと何度か言われた事はあるが
(それもどうかと思うが……)
男子生徒に告白されたのは
成長期に入ってからは
初めての事だった。
彼にも…鳳浩太にも迷惑が
かかるのだろう。
胸が重くなるのを感じた。
けれど…………
『もー!そこの3人!
何バカやってんですかっ!』
『レギュラーが気緩んでたら
後輩に示しつかないんですけどー。』
メンバーは皆笑っていた。
皆がどこから見ていたのかは
分からないが
とにかく本気にはしなかったのだろう。
またバカやってる。
それくらいに思ってくれているのだ。
『皆が言うとおり!
特に部長っ!
あなたが遅れてどうすんのっ!
大事なミーティングがあるって…』
人一倍声を荒げたのは副部長だった。
『えーだって…ハゲ(教頭)が…』
『教頭先生をハゲ呼ばわりしない!
大事なミーティングがあるのに
もめ事起こさないでよ!
いつもいつも……』
『あーあー、やめてやめて…
さっき説教終わったばっかなのに。』
『やめてって言うぐらいなら
最初から……そもそも………』
その後もクドクドと副部長から
部長へのお説教は続いた。
女子バレー部では
部長より副部長の方が
しっかりしている。
だから部長へのお説教も珍しい
ものではなかった。
ホッ…………
何もなかったように皆が
スルーしてくれる。
その事にこんなにまで安心するなんて。
『はいはい、んじゃ皆
体育館に戻るよー。』
何もなかったように
部長の声を合図に
皆と一緒に体育館に入る。
何もなかったように………
でも
『え?』
そっと後ろからジャージの裾を掴まれて
後ろを振り返る。
『部活…がんばってくださいね。先輩。』
耳元でささやくように声をかける
鳳浩太に
チクン…っと胸が痛くなったのは
何もなかった事に出来ないと
分かっていたからかもしれない。

