2人だけの世界に入りすぎてしまって
全然、周りが見えていなかった私達。
こんなにすぐ近くに人が
いるのにも気づかずに。
シャッター音がした方を振り向けば……
『部長っ!』
制服姿の女子バレー部、部長の
西園寺 春麻(さいおんじ はるま)
がなに食わぬ顔で立っていた。
『あー…いいから、いいから!
どうぞ続けて~。』
部長はそう言うとそのままカメラを向けて
写真を撮り続けた。
『やめて下さいっ!』
写真を撮られる恥ずかしさから
とっさに顔を手で隠す。
『ちっ…。まあ、いっか。
十分いいの撮れたし♪』
『えー!本当ですかぁ?
見たーい!』
『しかたないなー。ちょっとだけねー。』
『やったー!』
たくさん写真が撮れてご満足の部長と
それを喜ぶ鳳浩太。
ウキウキ、キャッキャッする2人とは
対照的に私1人だけが
2人のテンションについていけなかった。
『部長っ!鳳君っ!もうっ!
ってか、部長いつから…いたんですか…?』
よりによって部長に見られてしまうなんて………
場合によってはずっと
笑い話にされるのではと
ヒヤヒヤしていた。
『いつから~?って……
“あちゃー始まってる”くらいからかなぁ。』
『ッツ!そんな早くからっ!?』
ガクッと肩の力が抜ける。
もうほとんど部長には見られていたのだ。
隠しようもなく、誤魔化しようがない。
何より恥ずかしい。
それでも………
『あの!この…ことはお願いです。
誰にも………』
誰にも言わないで欲しい。
口の軽い部長にそれをお願いするのは
馬鹿げていると分かりつつ
頼まずにはいられなかった。
部長はキョトンとした顔をしたが
私が言いたい事は感じ取ってくれたのだろう。
ふわりと優しい笑顔を向けてくれた。
『いいよ、秘密にしたげる。』
『部長ッツ!』
『でも……』
でも…………?
部長はそういうと体育館の方を指差した。
嫌な予感がしつつも
後ろを振り返ると………
『ッツ!』
体育館のドアには
たくさんの女子バレー部の
メンバーが揃っていた。
『あたしは秘密にしとくけど
意味ないと思うよー。』
そう言って部長はケタケタと笑った。

