チュッと手の甲に触れる
柔らかい唇。
まるでお姫様にでもなったような
ありえない感覚をもってしまう。
私なんかそんなキャラじゃないのに。
ポカンと空いてしまった口を慌てて閉じ
私は浩太の手を振りほどいた。
『か、からかうのもいい加減にしてっ!』
私がこんな見てくれだから
きっと恋愛経験も少なく
からかって遊ぶには丁度いいとでも
思っているのだろう。
こんな男みたいな見てくれだから
傷つかないとでも…
思っているのだろう。
『“鳳君”さぁ…
こういう冗談面白くないよ。』
“俺以外はダメ”?
勘違いさせるような事言って
手にキスまでして…
こんな冗談笑えない。
そう思っていたのに……
『冗談…?』
先ほど振りほどいたはずの手を
鳳浩太は再び強く握りしめた。
『俺…冗談なんて言ってませんよ。』
その顔にいつものスマイルはなく
その目にも
笑いなど一切なかった。

