4時彼~君に捕らわれて~



チュッと手の甲に触れる

柔らかい唇。



まるでお姫様にでもなったような

ありえない感覚をもってしまう。


私なんかそんなキャラじゃないのに。



ポカンと空いてしまった口を慌てて閉じ

私は浩太の手を振りほどいた。



『か、からかうのもいい加減にしてっ!』



私がこんな見てくれだから

きっと恋愛経験も少なく

からかって遊ぶには丁度いいとでも

思っているのだろう。


こんな男みたいな見てくれだから

傷つかないとでも…

思っているのだろう。



『“鳳君”さぁ…
こういう冗談面白くないよ。』



“俺以外はダメ”?

勘違いさせるような事言って

手にキスまでして…



こんな冗談笑えない。



そう思っていたのに……



『冗談…?』



先ほど振りほどいたはずの手を

鳳浩太は再び強く握りしめた。



『俺…冗談なんて言ってませんよ。』



その顔にいつものスマイルはなく

その目にも

笑いなど一切なかった。