4時彼~君に捕らわれて~




どんなに急ぎ足で向かっても

無駄に使った時間は

修正出来ない。




『はい!ちゃんと並んで!
今日からの練習は……』




体育館へと着く頃には

既に部活が始まり

ミーティングの真っ只中だった。



副部長の声はよく通る。

体育館の外まで聞こえているのだから。



『あちゃー…もう始まってる……』



そりゃそうだ。

私がグダグダしている間にも

時間は流れていたのだから。



体育館のドアをそっと開け

中の様子を確認する。


部員が列をなし

副部長の話をしっかり聞いていた。


この様子ではソッと入りこむのは到底無理。


そう判断した私は覚悟を決め

セーラー服のリボンをスルリと外した。



『えッツ!?』

『ッツ!?』



隣から響く甲高い声に

私もビクッとなりながらも

慌てて浩太の口を手でふさいだ。



『シーッツ!静かに……』



ギリギリ聞こえるようなかすれる声でいさめ

浩太を睨み付ける。

だが、その浩太の頬は赤らんでおり

浩太の口を塞いでいた私の手に

浩太は自らの手を添えた。

そしてゆっくり手をどかされ……



『何…してるんですか?』



浩太は小さな声でたずねた。

大きな声を出すつもりはないらしい。

私はホッとして浩太の質問に答えた。



『何って…着替えよ?
このまま入るわけにもいかないでしょ。
それに、どうせ…』



どうせ下にジャージを着ているのだから。


それに別に恥ずかしい事じゃない。

誰も私の着替えになんて興味ないだろうし。


それより遅刻して来て

着替えもしてない方が問題。


そう思っていたのに……。




『ダメですよ。』



浩太はキッパリ否定する。


『こんな誰が見てるか分かんないとこで…』


『で、でも下に着て……』


『ダメ、とにかくダメです。』



浩太と繋がったままの手は

再び浩太の唇へと……



そして




『俺以外に見られたら……ダメですよ。』





浩太の頬は赤らんだままだった。