ガサガサ…ガサガサ……
どんなにカバンの中を探しても
現国の教科書が
見当たらない。
『うっそ……』
明日テストがあるというのに…
カバンの隅から隅まで探しても
教科書は見当たらない。
慌てて教室を出てしまったからか
教科書を入れ忘れてしまったようだ。
その上、忘れた物は
現国の教科書だけではなかった。
『最悪…』
ただでさえ部活に遅れているというのに
今から教室に戻ったのでは
部活には大遅刻。
何よりここまで来て教室に戻るのは
面倒でならない。
自然とハァっと重たいため息が出た。
でも、教室に戻らなければならない。
忘れた物は他にもあるのだから。
『ごめん浩太、先に行ってて!私…』
すると……
『せーんぱい!』
浩太はいつものキラキラスマイルを
私に向けた。
そして…
『現国の教科書ですよね?はい!どーぞ。』
浩太の手には私が探していた現国の教科書が。
忘れたのではなく
先ほど落としてしまっていたのだろう。
私はホッとし、浩太から教科書を受け取った。
『ありがとう!あーでも…』
他にも取りに戻らなければならないものが
いくつもあった。
けれど………
『携帯なら、カバンのポケットですよ。』
『え?』
『カバンのポケット。』
『え…あ!本当だ!』
『お弁当箱ならもう1つのカバンに
ありますよ。』
『あ…そう…だった。』
『ジャージは忘れたんじゃなくて
制服の下に着てますよ。』
『ッツ!』
『タオルは………』
浩太は私が探していた物を
『これ!使ってくださーい。』
全て言い当て、全ての物を把握していた。

