4時彼~君に捕らわれて~


男性にも負けない

そんな体格をしている私を

鳳浩太は

難なく抱きとめていた。


そして……

ゆっくり後ろへと下がる。



『先輩、ちゃんと前見ないとー。』



あまりにドキドキしてしまい

声が出てこない。

そんな私とは違い

鳳浩太は何食わぬ顔で

キラキラとした笑顔をむける。



『ご、ごめん。重かったでしょ…』


『何言ってるんですか。ケガしてません?』



普通の女の子と違い

私を支えるのは簡単ではないだろう。

それなのに鳳浩太は

助けるのは当たり前だと

言わんばかりに私を心配する。



“めっちゃ重かったー!”


って笑ってくれた方が

正直、気楽なのに。


鳳浩太はケガしていない事を確認すると

軽やかな足取りで

階段を下る。


そして、腰をかがめて

落ちてバラバラになった教科書を

拾ってくれた。



『あ、ごめ……』



その様子を見て、私も慌てて階段を下る。


『いーえ。これで全部です。』


はい!っと渡された教科書。

教科書に添えられる手の白さ。

まるで

雪のように白く、美しい手。


その手に見惚れてしまう。


『先輩…?』


『あ…うん、ご……』



ごめん

そう言いかけたけれど……




『ありがとう。』




ごめんのかわりに

感謝の言葉を口にした。