「マサ……。どうしてそんなに優しいの? 勘違いしそうになる」
肩越しに振り返り、アオイさんは泣きそうな顔をした。
「好きだからだよ。アオイさんのこと」
「同情だよ。バス停で泣いてるの見て可哀想に思ったのを恋と勘違いしてるだけ」
「違う。同情だったら、結婚してるって知った時点で連絡取らない」
言葉にして、なおさらはっきり分かった。旦那さんがいてもいなくても、俺はきっとアオイさんを好きになる気持ちをやめられなかった。
「……アオイ、だよ」
「え?」
「名前、さん付けしないで」
「……アオイ」
そっと彼女の頭を抱き寄せ、間近で見つめた。初めてこんなにも近くて目が合う。思っていたより華奢な体。折れるほど強く抱きしめたい衝動に駆られた。
「アオイは顔も性格も可愛いよ。嫌な女じゃない」
「……不思議なんだけど、マサと話してる時は自然と優しい気持ちになれる。だからラインするのも迷ってた」
アオイは、指先で小さく俺の服の胸元を掴む。その仕草がたまらなかった。
「マサと会ったら、今度こそ本当に好きになってしまいそうでこわかった。でも、してもらいっぱなしは本当に嫌で、だからお礼に会いたい気持ちも本当で……」
「下心ありのお礼だったとしても、俺は全然かまわないけど」
アオイのことがほしい。


