初めて聞いた輝一君の冷たい声。どんなに耳を塞いでも、輝一君の冷たい声が耳から消えない。
輝一君…ごめん
重たい足で自宅最寄りの駅で電車を降りると、けたたましく鳴り響くサイレン音。通りに目を向ければ警告灯を点滅させ私の目の前を急ぎ通過する消防車。そして消防車の向かう先の空は赤々と燃えていた。
不安が過る。私は思わず自宅へと急ぎ走った。
お願い
この胸のざわつきが間違いであってほしい
自宅近くは今もなお燃え上がる炎と煙で、当たりは騒然としていた。
私は沢山のひとだかりをかき分け自宅へと進む。
「通して!通して下さい!!」
ひとだかりの先頭まで進んだが、規制テープが張られ、制止するおまわりさんが、それ以上は進む事を許してくれない。
「嘘、嘘…」
大きな炎がアパートを飲み込んでいく。
「やだやだ!私の家が…早く消して!お願い消して!!」
泣き叫ぶ私に女性が声を掛けてくれた。
「良かった、あなた無事だったのね?」
彼女は私の肩を抱き、良かった良かったと背中をさすってくれた。
「大家さんアパートが…」
大家さんは、うんうんと頷き
「大丈夫…生きてるから、皆んな助かったから…大丈夫…」
「大家さん…」

