どうしたらいいだろう…
輝一君にも付き合って欲しいと言われてる

私は、輝一君にはっきりとした返事はしていない。五つも歳上の女なんて、彼らの年からしたらオバサンだ。いっときの気の迷いで、直ぐに飽きると思っていた。でも、この1週間輝一君は本気だと何度も言ってくれた。

「実は私… 」

「私の事は嫌いですか?」

真っ直ぐ向けられる、槇さんの眼差し

「…それは…」

「あの日の貴女を思い出しても、私は貴女に嫌われてるとは思えないのですが?」

カウンターの上に置いていた私の手に、槇さんの手が添えられる。

あの日の私…

槇さんの手から伝わる熱があたしの躰を熱くする。
もう1週間も前だと言うのに、あの時の槇さんの温もりは忘れていない。寧ろ、槇さんにいま愛撫されているかのように躰が熱くなる。

私へ真っ直ぐ向けられた槇さんの瞳には、私しか映っていない。そして、今の私の瞳にも槇さんしか映っていない。

「行きましょうか?」と、私の肩へ手を添える槇さん。

私も小娘ではない。何処へ行くのかと、無粋な事を聞かなくても分かる。私は槇さんに体を預けバーを後にした。