「お嬢様、お着替えは終了しましたでしょうか」

「えぇ。入りなさい」

「失礼致します」

先ほどの來嶋の使えなさを引きずっていた私は、父に電話をかけ、來嶋じゃなくて別の執事についてもらうことにした。

新しい執事が入ってきた。

やはり男性。

「私、紅葉お嬢様の新しい執事を務めさせて頂くこととなりました。結城と申します」

「そう。よろしく」

「こちらこそ、誠心誠意を持って仕えさせていただきますのでよろしくお願い致します」

堅苦しい長々とした挨拶をした結城は、ちらりと腕時計を見る。

「お時間でございます、お嬢様」

「えぇ」

「お車の御用意は既に出来ておりますので、あとはお嬢様がお乗りになられるだけにございます」