俺たちはその場に立ち尽くしたまま動けなかった...
俺は、まるでドラマのワンシーンでも見ているかの様だった。

少ししておじさんが出てきた。

こうへい父「こうへいがよんでるよ。3人とも会ってやってくれ...」

俺らは促されるままこうへいのいる病室へはいった。

病室へ入るとこうへいは沢山の管と沢山の機械に繋がれていた...
思わず目を逸らしたくなる光景だった

俺たちはこうへいの寝ているベッドの横にしゃがんだ。

こうへい「なに...泣いてんだよ...。」

はやと「お前もな...」

こうへい「うっ...ハァハァ...」

発作だ。


近くにいた先生が、駆け寄って来て点滴をいじった。
すぐに、こうへいの顔が穏やかになった。


こうへい「先生、ありがとう。」

先生は、何も言わず辛そうな顔で微笑んでいた。

こうへい「俺は...大丈夫だから」

はやと「無理して喋んなよ...」

「もう...時間がないから...」

はやと「ふざけんな。まだ死ぬにははえーんだよ。」

俺は再び涙を流した
こうへいは微笑んでいた。
そして、あいに目を向けた。

こうへい「...あい、泣くな」

あい「無理だよ..時間がないなんて言わないでよ...」

こうへい「笑え」

あいは首を振った

こうへい「あいの笑顔が好きだ。」

あいは泣きながら精一杯の笑顔を作った。
こうへいはすごく満足そうな顔をしていた。

こうへい「みゆき?はやとを頼む...」

みゆきは泣きながらうんうんと頷いていた。

こうへい「はやと今までありがとな」

はやと「おい。やめろよ。これからもずっとだぞ。死ぬなんて...ぜってえ許さねえからな。」

こうへいはなにも言わず微笑んだ。


こうへい「あい...」

あい「なに...?」

こうへい「あいのお母さんとちえみちゃんに会った。」

あい「え?」

こうへい「あいは…ハアハア…お母さん似なんだな…ハアハア」


そろそろ、時間かな…
俺は再び発作に襲われた。

あい「こうへい…」

こうへい「2人が…俺を…戻して…ハアハア…くれたんだ…」

あい「え?」

俺は微笑んだ。

こうへい「もう一度、あいに…逢ってあげて…って…ハアハア」


あいは、涙を流した。

こうへい「あい…?」

あい「なに…?」

こうへい「うっ...ハァハァ...」

あい「こうへいっ?!」


「もう時間みたいだ…」


こうへいは微笑んだ。


「ハアハア...愛してるよ...」

あい「私もだよ…。こうへい愛してる。」

こうへいはもう一度微笑んで
みんなの顔を見た。


「みんな、ありがとう!」

そして、
こうへいは、ゆっくり目を閉じ眠るように息を引き取った


あい「いやぁああーーーーー」


病室にあいの叫び声が響き渡った。