「それじゃ次だよ澪ちゃん、次いってみよー!」


自分のことじゃないのに、やけにリイちゃんが前向きで私もその勢いに乗っかるように「おー」と言いながら小さく拳を突き上げた。


「今日は誰を見に行く予定なの?」

「特に約束はしてないかな」

「そうなんだ? まぁハヤテちゃんは部活もあるしねー」


そうだった。入江くんはサッカー部。昨日は明らかに部活をサボらせたもんね。さすがに罪悪感があるから、今日は無しかもしれない。


「そうだね。それか、私一人で見学に行ってみようかな」


私がそう言うと、リイちゃんのビー玉のような瞳がさらに大きく見開いて、輝いた。


「澪ちゃんやる気になったんだね! うんうん、いいと思う。なんだか嬉しいなぁ」

「ずっと思ってたんだけど、どうしてリイちゃんがそんなに嬉しそうなの?」

「だってこれで澪ちゃんが一皮むけるかもしれないもーん。リイはそんなNEW澪ちゃんを見てみたいんだよん」


リイちゃんがニコニコと微笑む様子が可愛くて、思わず頭を撫でてしまいそうになった。なんて言うか小動物みたいな?


「それにトキメキも知らないままなんて悲しいでしょ? 花の十代の時間はあっという間に過ぎてっちゃうんだよー」


その言葉はなんとなく私の胸に刺さった。リイちゃんと一緒にいて、リイちゃんを見ていて確かに可愛いとか綺麗とかって思うから。

それは恋を知って、トキメキを感じている乙女だからなんじゃないかなって最近は思い始めていた。