「……えっと」


えっと……。

えっ?


「これ、ドキドキしたりする?」


耳元で囁やかれる言葉が、吐息が、私の耳をくすぐる。

入江くんは私の首に巻きつくみたいにして抱きついていた。


んーと……。


「してるかも? ビックリして」


私の言葉を聞いて、入江くんは勢いよく私の体を引き離した。


「いや、そっちじゃねーし! いてっ!」

「もー、バカ! そんなので澪ちゃんがときめくならハヤテちゃんを助っ人に呼んだりしてないよぅ!」


リイちゃんは入江くんをバシバシ叩きながら抗議してる。

ハムスターの如く頬を膨らませながら。


「もっと根本的なとこからいってみよう!」

「例えば?」

「澪ちゃんってあんまり恋愛漫画読まないって言ってたっけ?」

「うん、漫画よりミステリー小説読んでる方が面白いし。読んでも少年漫画ばっかかなー」

「ドラマは?」

「ミステリーとかサスペンスが好き」

「じゃあ今日から澪ちゃんに宿題を出しまーす! リイおすすめのドラマを毎日観る事。マンガもおすすめのもの貸すから毎夜読む事!」


リイちゃんおすすめって事は……。


「すっごいキュンキュンするんだから!」


だよね。リイちゃん恋愛ドラマと漫画しか読まないって言ってたもんね。