翌朝になって、ぼーっと窓の外を眺めていたらあっという間にお昼の時間になっていた。


「澪ちゃん、昨日ハヤテちゃんと何かあった?」


リイちゃんが私にそんな言葉をかけてくれるまで、可愛らしいリイちゃんの顔がすぐそばにあることにすら気づいていなかった。


「えっ? 何か言った?」

「なーんか、今日の澪ちゃんおかしいねぇ?」

「……そうかな?」

「うん。だって澪ちゃんってば心がここにないみたいにぼーっとしてるよー」


リイちゃんってば、私がぼーっとしていることに気づいてくれるなんて、なんだか嬉しいな。それだけ私のことを知っている証拠だ。

なんて私はリイちゃんのおかげで少し心をほっこりとさせていたら、さらにリイちゃんはこう言葉を付け加えた。


「ハヤテちゃんも今日変なんだよねー」

「ぎくり」


思わず声に出してしまった。昨日のがーんといい、マンガの読みすぎだ。

そして今回はリイちゃんってば、私の言葉を聴き漏らさなかったみたい。


「今、ぎくりとか言ったでしょー?」

「いっ、言ってない!」


私は口元を両手で覆いながら、首をブンブンと左右に振った。そんな私の手を掴んで、リイちゃんのほわほわスマイルが炸裂する。


「はーい。澪ちゃんはリイに嘘つかなーい。ちゃーんと全部吐いてもらうからねー」


可愛い天使が可愛い悪魔に変貌した瞬間だった。