「私、今……胸キュンしたかも」

「えっ、まじ?!」


入江くんは勢いよく顔をあげた。私はなんだかすごく恥ずかしい気持ちになって、顔を下げると、後ろから入江くんがそんな私の顔を覗いてくる。


「ほんとだ、澪……顔赤い」


改めて言われると、恥ずかしさが増す。


「入江くん、そろそろ別々に座ってもいいかな」

「なんで?」

「なんでって……」


もうすぐ地上が見えてくるし、こんな風に密着してるところ見られるのは恥ずかしくないのかな。

なんて私は思いっているとーー。


「別々に座らないと、俺にときめくから……とか?」


なんて笑いながら言ってる入江くん。

正直それは正しい。


だって、胸の奥がムズムズして、くすぐったいし、それにギュって何かに心を鷲掴みされてるみたいな感覚が私を戸惑わせる。

マンガでよく“キュン”って書かれてる擬音語は、あながち間違いじゃないのかもしれない。