「あ、あの……」 私の蚊の鳴くような声は彼に届くことはなく、男の人はカバンを持ってさっさと教室を出て行ってしまった。 「ちょっと優衣!」 「あ、由美子。お昼ご飯、学食にする?購買?」 「あ、学食いいね。……じゃねえよ!さっきの奴!大丈夫!?」 やけに由美子が慌てているので私はあえて落ち着いた声で大丈夫だよ、と答える。