お邪魔しました、と声の後にゆっくりと扉が閉まる音。 「……なんなの……」 イケメンだから?一度全てを許した人だから? うるさい胸の高鳴りに息苦しささえ覚える。 「うっ……」 腕の中で身じろぎされたことで卒倒した母の存在を思い出し、私は慌てて声をかけた。 「……お母さん!しっかりして!!」 「うーん……薫くんが……」 「夢!夢だよ全部!」 全部夢なら良かったのに。 いつの間にか時計の針は0時を指していた。