「増田先輩がっ、好きな女優さんだって言うからぁ!川原さゆみのメイク研究してっ、服の系統だって変えたのにっ!うえええんっ!」


「わかる、わかるよ。アンタすっげえ努力してたもん。あたしずっと見てたよ」




当時高校生だった私は、ありきたりだが、バスケ部のエースであった増田勇気に惚れていた。それというのも、落し物を拾ってもらったという少女漫画あるあるなきっかけ。


それから、増田先輩に近づきたくて猛勉強して成績優秀な先輩と同じ国立の大学に入学した。少しでも先輩に見て欲しくて、気にかけて欲しくて、見た目だって変えた。



なのに――