「もう送信してしまいました」 語尾にハートがつきそうなほど甘い声が増田先輩を地獄叩き落とした。 薫くんが自分の方へ画面を向き直すと、見えたのはうちの大学のアドレスと知らないアドレス。 おそらく増田先輩の内定先の企業のものだろう。 「自分のしたことのケジメはきちんとつけてくださいね」 力が抜けたように地面にへたり込む増田先輩を冷たく見下ろして、薫くんはスマートフォンをズボンのポケットに押し込んで、私の方に向き直った。