「お前、調子に乗るなよ」



そうこうやりとりをしている間に増田先輩が起き上がって、今にも薫くんに飛びかかろうとしていた。



「大企業に就職が決まっているそうですね」



薫くんがスマートフォンの液晶をつ、と指先でなぞる。



「しかも学校推薦?でしたっけ。残念ですね、優秀な学生が潰れていくのを見るのは……胸が痛いです」


「消せよ!」




増田先輩が怒鳴り声を上げるのとほぼ同時――薫くんはとろけるような甘い笑顔でスマートフォンの画面を彼に向けた。