「……砂川とゼミ一緒だったな。そいつがどうした?」



しばらく間を空けて、ハッとしたように逢坂くんが聞き返してくる。



「あの、その人……以前私のことを襲ってきた女の子の彼氏なんですけど」



缶コーヒーに口をつけて、逢坂くんは眉をひそめた。



「昨日……別の女の人と、腕を組んで歩いてるのを見て」



私がそう言うと逢坂くんは男らしい大きな手の甲に血管が浮き上がるほどの強さで缶コーヒーを握り潰した。


幸い中身はそれほど残っていなかったらしく、少量の液体が飲み口から零れたくらいで収まった。