「待たせてごめんね」 甘い声が耳元で反響する。 くすぐったさに身をよじれば、薫くんは私を抱きしめる腕に力を込めた。 「私はどこにも行きませんよ?」 背中に回された手は、何かに怯えるようにほんの少しだけ震えていた。 それに気付いた私は身体の力を抜いて、頭を薫くんの胸に預ける。