それでも私がまだためらいを覚え、緊張感で汗ばむ手でストラップを握りしめた。 「砂川が待ってる。」 短くそう言った逢坂くんは、もう私の方を見てはいなかった。 「ありがとう……ございます」 不器用な励ましの言葉に、私は深く頭を下げて車の内側のハンドルに手をかけて扉を開けた。 今すぐ砂川さんに会いたい。 その気持ちだけが私を突き動かしていた。