「あの、すみません。私、そんな顔をさせるつもりじゃ」 「いや。俺も失恋する辛さはわかるつもりだから。君の方がよっぽど悲しいだろうけど……」 自分のことでも思い出したのだろうか。 涙で揺れるその瞳を見つめ返して私は動揺して露骨に顔を逸らしてしまった。 「わ、私……家すぐそこなので、ここで大丈夫です」 「俺が慰めてあげようか?」