「砂川、さん……」 ずっと左手でクシャクシャに握り締められていたそれは汗と涙でほんのり湿気て、掠れていた。 私はメモに書かれた番号を打ち込み、発信ボタンを押した。 3度、4度――5回目のコールのあと、落ち着いた優しい声がスピーカー越しに聞こえてくる。