放課後を知らせるチャイムが鳴っている。
私はチャイムと同時に親友のなつめと一緒に校門を飛び出した。
高校のある桜丘町の駅から電車に乗り4駅、着いたのはこの県の中心部若葉市。私はなつめと2人で徒歩5分のところにある喫茶店へと入った。
中村希亜 高校2年生。私はこの喫茶店で親友のなつめと一緒にアルバイトをしている。ただの喫茶店ではなく、ここはコスプレ喫茶。なつめのお姉さんが経営しているのだ。私となつめは今日のコスプレ衣装であるナース服を着て接客を始めた。

「いらっしゃいませっ!今日はナースなっちゃんがお客様のお世話をいたしまーす!」なつめの愛称はなっちゃん。この喫茶ではなかなかの人気だ。
それで私はというと……
「お客様、いらっしゃいませ♥今日はきぃたん、ナースだよ!」
最初は恥ずかしくて言えなかったこのセリフももう何百回でも言えるぐらいに慣れてしまった。私のこのお店での名前はきぃたん。自分で言うのもあれだが、なかなか可愛い名前だと思う。

私がこのお店で働いていることは親友のなつめ以外に知る人はいない。ここは4駅離れた若葉市、しかもかなり大きな街のため、同じ高校の人と会うのことはほとんどない、それに、メイクやコスプレのせいで学校での雰囲気と全く違うので絶対にバレない自信がある。




そうこうしているうちにバイト終わりの時間になった。なつめと桜丘町に戻る電車の中でこんな話になった。
「もしバイトしてることがバレたらどうするの?やめちゃうの?」
なつめが聞いた。私は
「バレてから考えるよ」と答える。
アルバイトを始めて2ヶ月余り、そんなことを考える余裕がないぐらい忙しかったため、そろそろ考えないといけないな。と思いながら電車を降りて家へ帰った。