「先輩?三咲先輩?もうすぐ降りる駅ですよ。」


今もほら、私の体操服のジャージを遠慮がちに引っ張ってくれている。


そして、もう片方の手で、こっくりこっくりうたた寝している翼くんを起こしていた。


佐々原くんは、いつもこんなに頼りになるんです。


「あっ、ごめん。佐々原くん。ありがとう。」


「全然大丈夫ですよ。でも珍しいですね。先輩が朝ボーッとしてるなんて。昨日眠れなかったんですか?」


こんな些細なことにも気づいてくれる、男の子。