「かーんかん♪」
「!!!!!!」
私は、とっさに振り向いた。
「びっくりした…」
声が出なかった。
呼ばれた時、一瞬だけど、皐月くんに言われたと思った。
まさかのマメだったとは。
マメは練習着を着ていた。
窓を開けて、身を乗り出している。
「かんかん、何してんの?」
「かんかんって言うな」
「かんかん♪」
……うっとうしい。
「克、なにしてんの。……あ、この子例の?」
見たことないけれど、多分野球部だろう。
同じような頭をした野球部が、2人来て、マメに話しかけている。
「というか、例の…って?」
「そ〜れ〜は、秘密〜」
マメは野球部たちと顔を見合わせて笑っている。
どうせどうでもいいことだろう。
私は落とした本を拾って、他の棚に移った。
「あれ、冬太なにしてん」
私は棚からひょこっと顔を出した。
「なんか、図書委員で本片付けろって」
「サッカー部休み?」
「火曜は、オフ」
マメたちの横から皐月くんと話してるのは、朔真だった。
なんか、正反対ぽく見えるのに、仲良いんだ。
