「うん。先に帰ってるお母さんと、今夜のご馳走の買い出しがてら、ランチに行く約束してるんだ」
「あー、なるほどね。入学祝いってやつ?」
その時の天道君の表情が、一瞬、寂しそうに見えた気がしたけど、それを言葉に出す勇気がなくて、私は当たり障りのない返事を返した。
「そうなの。天道君は?このあと何かあるの?」
「ううん。なんにもなくて暇だから、美希ちゃんと帰る方向が同じなら、一緒にぶらぶらしながら帰りたいな、と思ったんだ」
「へっ!?」
まさかそんなことを言われるとは思ってなくて変な返しになっちゃったよ…。



