ぐ、とお皿を持つ手に力を入れてピーマンと向き合う。
見るからに苦そう。
だめだ、口に入れる気になんてなれる気が全くしない、けど………。
「食べなきゃなぁ……」
だって、せっかくみんなが焼いてくれて。
せっかく浅野くんが私によそってくれたのに。
残したりしたら申し訳ないよね……。
それに、さすがのピーマンだって可哀想だよ。
……うん、頑張って食べよう。
そしてまたもや、ピーマンと睨めっこ。
……というエンドレスループ。
「はぁ………」
なんて、うだうだしていても仕方ないよね!
一瞬で口に入れて飲み込んじゃえばきっと大丈夫……なはず。
よし、目をつむって3数えたら、一気に口に入れよう……!!
そう決心して、ぎゅ、と瞼を閉じて、カウントダウンを始めた。
3、
2、
1、
「………ほぇ……?」
瞼を開けてお箸を構えた私の口から間の抜けた声が零れた。
それも仕方ないと思う。
だってお皿の上から跡形もなくピーマンがなくなっていたんだから。
まだ、お箸でさえも触れていないはずなのに。
あれ……?
………もしかして、落としちゃった!?
慌てて周りの地面を見回すも、何も落ちてなんかいなくて。
ふと気配を感じて視線を上げると、
「みっくん?………それ!」



