学級委員を務めてくれているからかな。
浅野くんの声を聞くと、背筋が伸びる。
そんな私に、柔らかい笑みを向けて。
「俺、花岡のこと好きだよ」
今まで聞いた彼のどの声よりも柔らかい声で、ふわりと落ちてきた。
「あ…ありがとう」
好きだ、って言われて嫌な気なんてするわけもなく、むしろ単純に嬉しくて。
お礼を返せば、なぜか苦笑されて。
「……そういうことじゃないんだけどなぁ」
「?」
浅野くんが呟いた言葉は聞こえなかった。
「俺、がんばるよってこと」
首を傾げた私に、浅野くんが言い直してくれた。
何を頑張るんだろう………
頭の中には はてなマークがたくさん浮かんだままだけど。
「頑張って!」
むんっとガッツポーズを作ってエールを送った。
浅野くんは器用そうだから、たぶん大丈夫だよ。
………何をするのかも知らないけれど。
「はは、花岡にそう言われたら、すっごい頑張れそう」
「それは何よりです」
えへへ、と照れ笑いを浮かべてみせた。
なんだか、浅野くんとは仲良くなれそうな気がしてきた。
さっき一瞬、怖く感じたのなんて嘘みたいだ。



