「………ごめん」


ぼーっとみっくんのことを考えていた私の耳に、切なげな浅野くんの声が入ってきた。


……ごめん……?




「さっき言い方キツかったし、戸惑わせたよな……花岡のこと、責めたかったわけじゃないんだ、けど……」



「けど……?」



「気づいたら口走ってた。もし花岡が光希のことを想ってて、そんで光希も花岡のこと好きだったらって想像しただけでムリで」




私の頭の回転が遅いせいか

浅野くんの言っていることは、これっぽっちもわからない。


だけど、




「本当にごめん」




そう言って頭を下げた浅野くんが、誠意を持ってくれてるんだってことはわかる。


さっきは確かに、少し怯えてしまったけれど……




「私は大丈夫だよ、頭なんか下げないで……?」




だって、優しい浅野くんが怖く見えたのなら、それはきっと私にだって原因があるんだと思うから。


私の声に浅野くんが顔をあげて、視線が絡んで。



浅野くんが、ふ、と口角を上げた。



「花岡」

「は、はい……」



名前を呼ばれて、背筋がしゃんとする。