「っ…えっと……」
浅野くんから静かににじみ出ている迫力に押されて、縮こまりそうになりながら、浅野くんの質問を一つずつ思い出す。
「パ、パーカーは、みっ……棚橋くんが寒そうって貸してくれたから……。棚橋くんとは仲良くなんて全然なくてっ!ただ、知り合いなだけ……」
幼なじみなんだ、とは言えなかった。
だって、みっくんが嫌がるから。
こうやって避けられるようになる前から、言ってたんだもん。
『俺と幼なじみだって、あんま口外すんなよ』
『どうして……?』
『面倒くせぇから』
いつだったかは忘れてしまったけれど、これ以来私はみっくんと幼なじみであることは言わないようにしてきた。
……唯一の例外が夏奈ちゃん。
面倒だって言われたって、あまりピンと来ないんだけど。
それから、みっくんは “みっくん” って呼ばれるのも好きじゃないみたいだ。
『その “みっくん” って呼ぶのいい加減やめろ』
直接咎められたのは、後にも先にもこの1度きりで (p.5参照) 、それでも懲りない私にはもう諦めたみたいだけど。
それでも、元々ほかの人にこの呼び名を知られるのは嫌らしい。
理由は単純明快に、
『恥ずかしいから』って。
………これは、わからなくはないかも。



